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「事業再構築補助金」は、事業者が経営の変革を図る際に活用できる重要な支援制度です。2021年の開始以来、多くの企業が活用し、新たな挑戦を実現してきました。2024年11月に発表された第12回の採択結果では、全7,664件の応募に対し、採択数は2,031件。応募数が増加する中、審査基準も高まっています。本コラムでは、第12回採択結果の分析を通じて成功のためのポイントを探ります。
第12回事業再構築補助金採択結果の分析
応募と採択の状況
第12回では応募件数7,664件のうち、採択率は約26.5%でした。これは前回に比べ若干の減少が見られました。とりわけ、「成長分野進出枠」や「GX進出類型」など新規性の高い枠への応募が目立ち、競争が激化しています。
- 主な事業類型の採択数
- 成長分野進出枠:1,038件採択
- コロナ回復加速化枠:349件採択
- サプライチェーン強靭化枠:317件採択
応募の分布を見ると、製造業が応募全体の43.6%、採択全体の27.0%を占め最多でした。次いで卸売業・小売業(採択全体の15.2%)、建設業(13.7%)と続きます。宿泊業や飲食サービス業も約8.3%を占めており、ポストコロナ需要を見据えた事業計画が評価されていることがうかがえます。
また、補助金申請額の分布では、「1,500万円~3,000万円未満」の計画が応募者、採択者ともに最多でした。この範囲内の計画は全体の約7割を占め、現実的な予算設定が高く評価された可能性があります。
成功事例に見る計画策定のポイント
第12回事業再構築補助金採択結果の分析から、採択される事業計画に必要なポイントを挙げます。
1. 具体性のある事業計画
採択された計画では、事業の実現可能性を示すデータや根拠が明確に記載されていました。収益モデルや市場調査のデータが詳細に示されていることで、審査員にとって信頼性の高い内容となります。特に、新規市場開拓や事業モデルの変革が実現可能であることを強調することが重要です。
2. 新規性と社会的意義
新規性のある計画が評価されています。たとえば、新たな市場や技術に挑戦する計画、または地域課題を解決する内容が成功のカギとなります。「GX進出類型」では環境負荷削減や持続可能な事業計画が評価されており、社会的意義が大きなポイントとなっています。
3. 支援機関の活用
認定経営革新等支援機関のサポートを受けた事業者の採択率は34.2%と、支援を受けていない事業者を大きく上回りました。専門家と連携して作成された事業計画は、完成度の高さと現実性が評価されています。特に、地域金融機関や中小企業診断士などと協力することで、計画の精度を高めることができます。
地域別の採択結果の特徴
都道府県別では、応募件数・採択件数とも東京都、大阪府、愛知県が上位を占めています。一方で地方では、地域特有の資源を活用した計画が採択されるケースが目立っています。
具体例として、農業や観光業の活性化を目指す計画、地域特産品を活用した新規事業の創出などが評価されています。特に地方では、地域経済への寄与が重要視され、都市部と比較して採択率が高い傾向があります。このように、地域密着型の事業計画は、地方における成功のポイントとなります。
次回申請に向けたアドバイス
第12回事業再構築補助金採択結果を踏まえ、次回以降の申請を成功させるための具体的なアプローチを整理します。
1. 早期準備の徹底
事業再構築補助金の申請には、時間をかけた計画の練り上げが必要です。特に市場調査や収益予測のデータ収集を早めに行うことで、申請書類の完成度を高めることができます。審査員が重視するポイントを事前に押さえておくことが、採択への第一歩です。
2. 採択事例の研究
同業種や同地域の採択事例を分析し、自社の計画に成功要因を取り入れることが重要です。第12回採択事例を詳しく調査し、どのような計画が高く評価されたのかを理解することで、次回申請の参考にできます。
3. 他者との差別化
応募が集中する分野では、他者との差別化が重要になります。単なるアイデアではなく、自社ならではの強みや独自性を明確に打ち出し、審査員に響く内容に仕上げることが求められます。
まとめ
第12回事業再構築補助金の採択結果は、競争が激化する中で、計画の質が成功を左右することを示しています。具体性、新規性、社会的意義を高めることで、採択の可能性を大きく引き上げることができます。また、専門家のサポートを活用し、審査基準を的確に把握した上で準備を進めることが重要です。
これから事業再構築補助金の申請を検討している方は、第12回の結果を参考にしながら、自社の可能性を最大限引き出す計画を構築してください。事業再構築補助金は、未来への挑戦を支える強力なツールです。ぜひ積極的に活用し、新しいステージへと踏み出しましょう。