事業再構築補助金第13回の注目ポイント

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新型コロナウイルスの影響を乗り越え、経済社会が変革期を迎える中、日本政府は中小企業の支援策として「事業再構築補助金」を継続的に展開しています。その第13回公募が間もなく開始されるにあたり、今回は補助金の概要や注目すべき変更点、さらに補助対象となる事業類型と補助率について解説します。

事業再構築補助金の目的と概要

事業再構築補助金は、ポストコロナ時代における経済社会の変化に対応し、成長分野への進出や業態転換、新市場進出などを目指す中小企業を支援するための制度です。この補助金は、中小企業が思い切った挑戦を行い、付加価値の高い事業を実現することで、日本経済の構造転換を促進することを目的としています。

第13回公募では、これまでの制度設計を踏まえつつ、以下の点に焦点を当てた支援が行われます:

  1. ポストコロナ対応の事業再構築を支援。
  2. 成長分野進出枠、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)などの複数の事業類型が用意され、事業者ごとのニーズに対応。
  3. 卒業促進や中長期大規模賃金引上促進の上乗せ措置により、意欲的な事業者へのインセンティブを提供。

これらを通じて、持続可能かつ競争力のある経済基盤の構築を目指します。

補助対象事業の類型と補助率

事業再構築補助金第13回では、以下の5つの事業類型が設定されています。

  1. 成長分野進出枠(通常類型)
    • 成長分野への事業再構築を支援。
    • 補助金額:従業員数に応じて100万円から最大6,000万円(短期で大規模な賃上げを行う場合は7,000万円)。
    • 補助率:中小企業者等1/2(短期賃上げの場合2/3)、中堅企業等1/3(短期賃上げの場合1/2)。
  2. 成長分野進出枠(GX進出類型)
    • グリーン成長戦略に基づく事業を支援。
    • 補助金額:中小企業者等で最大8,000万円、中堅企業等で最大1億円(いずれも短期賃上げで上限引上げ)。
    • 補助率:中小企業者等1/2(短期賃上げの場合2/3)、中堅企業等1/3(短期賃上げの場合1/2)。
  3. コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
    • 最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を支援。
    • 補助金額:最大1,500万円。
    • 補助率:中小企業者等3/4、一部で2/3。
  4. 卒業促進上乗せ措置
    • 中小企業から中堅企業への成長を目指す事業者を対象。
    • 各事業類型の補助金額に準じた支援。
    • 補助率:中小企業者等1/2、中堅企業等1/3。
  5. 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
    • 大規模な賃上げに取り組む事業者を支援。
    • 補助金額:100万円から3,000万円。
    • 補助率:中小企業者等1/2、中堅企業等1/3。

なお、成長分野進出枠(通常類型)やGX進出類型において、短期的に賃金を引き上げる場合には補助金額および補助率がさらに優遇されます。

第13回公募での変更点

今回の公募では、以下のような重要な変更点が導入されました。

  • 事前着手制度の廃止 第13回から、交付決定日前に発注・契約を行った経費は全額補助対象外となります。これにより、補助事業開始後の透明性がより一層求められるようになりました。
  • 市場縮小要件の追加 事業者が属する業種や業態が市場規模の縮小に直面している場合、それを基盤に新規事業に転換する取り組みが重点的に支援されます。
  • 付加価値向上の明確化 補助事業終了後3–5年で、付加価値額や給与総額の一定以上の成長を求める具体的な目標が設定されました。

申請のポイント

事業再構築補助金の申請においては、事業計画の作成が重要です。金融機関や認定支援機関の助言を受けながら、具体的かつ実現可能な計画を策定することが求められます。特に以下の点に注意しましょう。

  1. 事業再構築の定義を明確に 新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編など、事業再構築指針で定められた類型に該当する計画であることを示す必要があります。
  2. 目標達成に向けた具体的な戦略 補助事業終了後3–5年で、付加価値額や従業員一人当たり付加価値額の増加率を明確に設定し、その達成手段を具体的に記載することが重要です。
  3. 事業計画の金融機関確認 金融機関や認定経営革新等支援機関による計画確認は必須であり、信頼性の高い計画であることを示す必要があります。

終わりに

事業再構築補助金は、中小企業が新たな可能性を切り拓き、ポストコロナ時代において持続可能な成長を遂げるための強力な支援策です。第13回公募では、支援内容がさらに多様化し、各事業者の状況に合わせた利用が可能となっています。適切な計画と準備を整え、この貴重な機会を最大限に活用しましょう。

応募締切は2025年3月26日(水)18:00です。興味を持たれた方は、早めの準備をお勧めします。