[事業再構築補助金] 圧縮記帳 仕訳

コラムをご覧いただきありがとうございます。

事業再構築補助金では、令和3年8月から圧縮記帳が認められるようになっています。
これによって、補助金に対して初年度に大きく課税されることはなくなりました。

今回は、固定資産を取得した場合の仕訳例を見ながら圧縮記帳について解説していきます。

◆圧縮記帳とは

圧縮記帳とは、会計処理の一つで、
税務上の課税の繰延を行うことで、その年度の税負担を軽減することをいいます。

例えば、有形固定資産の取得に際して収益(補助金等)が発生した場合、
その取得価額を減額することにより圧縮損を計上し、
収益金額と圧縮損とを相殺してその年度の税負担を軽減する効果をもたせます。

原則として、補助金や助成金は課税対象となりますが、
固定資産の購入の場合、すぐに事業に対する効果を発揮する可能性は低いので、
当年に大きく課税されると経営が苦しくなる可能性があります。

そこで圧縮記帳を活用し、翌年以降に課税を繰り延べて、
固定資産購入の効果が出始めたときに税金を払ってもらうということになります。

◆圧縮記帳を使用する効果

事業再構築補助金を使用して固定資産を取得した場合の仕訳例を見てみましょう。

圧縮記帳には、直接減額方式(損金経理により帳簿価額を直接減額する方法)と、
積立金方式(確定決算または決算確定の日までに剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる方法)
と2種類ありますが、ここでは直接減額方式を用いて紹介します。

【500万円の機械(耐用年数8年)を手元金200万円と補助金300万円で購入した場合】

仕訳番号借方金額貸方金額
預金300万円雑収入300万円
機械装置500万円預金500万円
圧縮損300万円機械装置300万円
減価償却費25万円減価償却累計額25万円

①補助金受取時の仕訳。
 実際には事業再構築補助金は設備投資後に支払われますが、
 単純化のために先に支払われると仮定しています。

➁機械購入時の仕訳。

③圧縮記帳の会計処理。
 補助金の受取額と同額を圧縮損として損失を計上し、機械の取得原価を減少させます。
 補助金と同額だけ収入を減少させるので、税金が減額されます。

➃決算時の減価償却費の計上(定額法、耐用年数8年)
 (500 – 300) / 8 = 25

圧縮記帳をしなかった場合、減価償却費は62.5万円(500 / 8)であるのに対し、圧縮記帳を適用すると25万円となり
圧縮記帳を適用した場合のほうが減価償却費が少なくなります。

次年度以降についても減価償却費が少なくなり、その分利益が増えることになります。
その結果、税金がその分増えることになるので、実質的に税の繰延となるわけです。

◆圧縮記帳を使用する注意点

圧縮記帳をすることで課税の繰延ができると説明しましたが、あくまで繰延であり、
将来的には圧縮記帳をしなかった場合と同額の税金を支払うことになります。
税金を一度で支払わなくて良くなるだけで、税金自体が免除されるわけではありません。

結果的に支払う税金は同額になりますが、税金の繰延によって確保した資金は事業に再投資できますので
圧縮記帳は積極的に活用をすべきと考えます。
圧縮記帳を活用して、補助金を最大限に生かすことが出来れば、さらに事業の発展につながるのではないのでしょうか。

◆最後に

いかがだったでしょうか。

今回の記事では、固定資産を取得した場合の仕訳例を見ながら圧縮記帳について解説しました。

今後も経営に役立つ情報をお届けしますので、是非ともチェックしてみてください。